「仕事=人生」という昭和の価値観によって起きた悲劇
どうも、ゆうしんです。
この国はいまだに「昭和」を大部分引きずっている気がします。
いろんな面でそれを感じるのですが、その最たるものは「仕事=人生」という価値観。
特に男は仕事だけしていれば良くて、仕事で結果を出す(より多く稼ぎ、評価される)ことが「人間として優れていること」だという。
(女性の場合は早くに結婚して子供をたくさん産むことですが、どちらにせよ「役割」を果たすことが人間の条件であって、そうでないと生きる資格がない、という価値観です)
とにかく仕事に邁進することが幸福を保証してくれた昭和時代には、それがベストな生き方だったのでしょう。
しかしこれはあまりに極端であり、いつの時代も通用する生き方とは思えません。
人生何が起こるか分からないんであって
確かに仕事は人生の大事な課題の一つ。
でも、その前に僕たちは一人の人間です。
仕事だけを拠り所にしてしまったら、仕事を奪われた時にどう生きれば良いのか?
「生涯現役」であればそれは素晴らしいことですが、みんなそれができるわけじゃない。
若くして仕事ができない体になることだって、誰にでもあり得るんです。
人生、何が起こるかわかりませんからね。
亡くなった僕の父親が、まさにそれでした。
若い時から仕事一筋。それなりの地位につき、まさに仕事=人生の人でした。
それが、持病が悪化して52才で退職。
以降は何もする気になれず、沈鬱な日々を送るばかりでした。
「仕事ができなくなった自分には価値がない」
言葉には出しませんが、そう思いこんでいるのは痛いほど伝わりました。
すっかり自信を失い、新しいことにチャレンジする気力もなく、ただ家で少しばかりの家事をするだけ。
無趣味な人だったので、テレビやラジオくらいしか時間をつぶす方法がなく、憂鬱を紛らわすために酒とタバコに依存し…
そのうち体を壊し、64才の若さで亡くなりました。
父は団塊の世代。
高度成長期に就職し、壮年期にバブルを経験した世代です。
ガムシャラに働くほど給料は右肩上がり、生活もどんどん豊かになっていく。
終身雇用が前提で、正社員であれば将来は安泰だった。そんな時代です。
そりゃ仕事だけが生きがいになってもおかしくないと思います。
でも、もうそんな時代じゃないですよね。
経済成長が止まり、先の見えない時代に、何も考えず仕事だけを拠り所にしてしまうのは、あまりに危険です。
それでも昭和モデルにしがみつく
なのに、いまだに高度成長期の終身雇用モデルを前提に世の中が動いているんですよね。
それが崩れていることに薄々気づきながらも、それ以外の人生設計は見つからない。
だから「やっぱりそれが正しいんだ」と自分に言い聞かせるように、旧来のモデルにしがみつく。
「いろいろ問題はある…でも、何だかんだこれが正しい道なんだ…!」と。
ツイッターを見てたらそういう人がほんとに多い。
学歴を否定したり、サラリーマン一本じゃ危険ってことで副業や起業を進めるインフルエンサーたちに対する拒絶反応はすごいものがあります。
自分の今の働き方や生き方には満足していない。
が、他の道は見つからない。
あってもそれが可能なのは一握りの天才だけ。
自分には無理。
だから、何としても副業とかフリーランスという働き方を全否定しないといけないんですね。
でないと自分が保てないから。
そういう方々を批判しているわけではありません。
むしろ、そういう反応は自然だと思うんです。今の教育制度のもとでは。
親も教師も「良い学校に行って、良い会社に入って…」の昭和モデルしか知らないわけですから、新しい生き方なんて教えられません。
だから知らないまま大人になります。
教えられなくても自分で積極的に勉強すれば、世の中の変化を知ることができるのですが、それも無理です。
なんせ日本人の大人の平均勉強時間は「1日6分」という絶望的なデータが出てますからね…。
平成ジャンプ
というふうに昭和の価値観がいまだに色濃く残っているのがこの国です。
本当は昭和の次の平成の間に、変えないといけなかった数々の古びた慣習が、生きた化石のように温存されている。
昭和生まれの人が、結婚できず独身のまま平成の30年間を過ごしてしまったことを「平成ジャンプ」などと自嘲する言い方がありました。
今回テーマにした「仕事=人生」みたいな昭和の古い価値観が平成年間にアップデートされなかったという「平成ジャンプ」の方がずっと問題です。
それによる様々な弊害が僕たちを苦しめているのですから。
というか晩婚化・未婚化というのだって、昭和の価値観を引きずっているせいだと僕は思います。
昔は「結婚は20代のうちに必ずするもの」という強いプレッシャーがあり、世話焼きのおばさんなんかが「あなたこの人どう?」と勝手に紹介してくれた。
何より「お見合い」という習慣が、出会いの主流として定着していた。
それがあまりにも空気のように当たり前だったから、その習慣がなくなったら結婚する人が激減するなんて、考えも及ばなかった。
今権力を持っている60代、70代のおじいさんたちは、今の若者がなぜ結婚しないのか、できないのか、全然わかってないんだと思います。
誰も世話してくれる人もおらず、お見合いという習慣も廃れ、ただ実力勝負の恋愛市場にポンと放り出される状況。
これがいかに厳しい世界かということは、
・20代男性の30%が「一度も彼女ができたことがない」
・現在恋人がいない割合 - 20代男性の70%、女性の55%。
というデータを見ても分かります。
自然に任せてたら、恋愛して結婚する割合なんてこんなもんなんです。
これに何もケアをしてこなかった昭和のおじいちゃん達を僕らは批判するべきですよ。
だから昭和を捨てるべきです。
と昭和生まれで苦しい平成を過ごしたアラフォー(氷河期世代)の僕なんかは思います。
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