“税金泥棒”で炎上、堀江貴文氏の年金デモ批判について思う ②
裸の王様になるかもよ
堀江さんの発信をずっと見ていたら分かりますが、彼は幅広い知識があるように見えて、実はそうでもない。
特に政治については本当に興味がないんだなあ、ってことがだだ漏れだし、前述の放射性廃棄物の件のように思い込みで語ってしまうことも多い。
これは、じっくり深く情報を吸収して考えるのではなく、要点だけを上手につまみとって、自分のフィルターを通してまとめるキュレーション型の情報収集のエキスパートだからでしょう。
と言っても、その情報収集力はとてつもないレベルです。効率で言うとたぶん常人の何十倍でしょう。
だからあれだけ質量ともに高いレベルの情報発信ができるわけです。
しかし、この方法はデメリットもあって、「価値観を根底から揺るがすようなインプット体験」がしにくいんですね。
「自分のフィルター」ってのは価値観のことであって、それを変えるには一つのことをじっくり深く考えるという経験が必要ですが、「広く浅くつまみ取って、自分なりの解釈で発信する」というやり方では、当たり前ですがフィルターのアップデートは行われにくい。
日々膨大な情報収集に忙しく、もちろん自分のビジネスも持っているわけで、一つのことをじっくり考える暇なんてないんでしょう。
「お前にホリエモンの何が分かる」
と言われるかもしれませんが、十数年彼の発信を見ていて思うことです。
彼の言ってることはずっと一貫してて、それは間違いとか偏りも含めてずっと一貫してて、ほんとブレないんですよ。
それを見てたらわかります。
彼のように偉くなってしまうと、フィルターが明らかに間違っていても指摘できる人もほとんどいない。
そして、価値観を変える必要性も彼には出てこない。
それは、
・「“大衆”は99%バカであり、バカの言うことを聞く価値はない」と思っていること。
(これはだいたい正しいのですが)
・「門外漢」として発信した意見は、たとえ間違っていても致命傷にはならない
といった理由からですね。
こういう状態が何十年続くと、誰でも「裸の王様」化していきます。
彼は今のところそこまでは至ってないように見えます。
まだまだ有益な発信をしていますしね。
でも、このままでは遅かれ早かれ、そうなる可能性は高いように思います。
悪いのはホリエモンじゃなくマスコミ
若いうちは誰でもナイーブで、柔軟で、素直です。
上司や同僚や友達やマスコミなど、いろんな方面からの情報をダイレクトに受け取って、いちいち深く悩んだり迷ったりする。
そうしながら、急激に価値観をアップデートさせていきます。
でも、年とともにその柔軟性は失われます。
もちろんそれは自分の考え方、価値観が完成したということで、悪いことばかりではありません。
が、若い人から見ればそれはただ「頑固な人」になります。
そして、新しいものに常に批判、否定から入る姿勢は、行きすぎれば「老害」です。
どんな起業家、インフルエンサーだって年を取ります。
ホリエモンだってひろゆきだって、もう40代半ば。人生も後半に差し掛かっています。
40才は「不惑」と言われます。惑わなくなる。ってことは、つまり「固定」されてしまうのです。
「今までやってきたことの延長」「今ある材料で考える」ことが大半になるから。
40代以降で、アップデートが行われるとすれば、それは病気や事故、肉親との別れ、大規模な災害など、一生に数回レベルのおおごとです。
それくらい「変わらない」のが中年、老年です。
このことを、もっと我々は自覚するべき。
どっかで書いたかもしれませんが、僕がこれを自覚した例として、鳥越俊太郎氏の「電子決済」に関する意見があります。
某週刊誌のコラムで、
「電子マネーなんて間違っている」
「電子決済なんて、お金を使っている実感がない。無駄遣いにつながる」
「現金だと暗算で計算をするから、ボケ防止になる」
という理屈で、「現金派が正しい」みたいなことを主張しておられました。
とっても悲しかった。
あれだけ活躍したジャーナリストでも、70代後半になるとこうなってしまうのか、と。
ここまで分かりやすくなくても、近い例はたくさんあります。
で、こういう老醜を晒している人はもう退場してもらって、若い人の言説を取り上げるべきなんですが、その新陳代謝が上手くいってない印象。
情報量が多く、多種多様すぎるので、個別に精査してられなくなっているので、とりあえず権威や知名度のある人の意見が相変わらず取り上げられるんですよね。
情報が多すぎるとかえって人は迷ってしまい、自分で判断ができなくなる。
ってのは、世界中で起きている現象です。
迷っているがゆえに、声の大きい、ズバッと断言してくれる人に支持が集まる。
中身に関わらず。
ホリエモンはまだ老害だとは思いません。今でもいいこと言ってますし、さすがだな、と思える情報発信をしています。
でも、その中身よりも「ホリエモンがこう言っている」という、ブランドの価値のほうが、この数年で大きくなっていると思う。
それに気づかず、いつまでもご意見番のような扱いで、半ば惰性なのかもしれませんが、取り上げ続けるマスコミが愚かなのかなと思いました。
とさ。
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